小さな峠道に差し掛かると目の前の
岩岩の隙間に
木々の合間に
わずかな土に小さな草花が咲き乱れる
ここが偶然であり必然であるように美しい。
坂道を登りきると白い山脈に抱かれるように
thousandisland lakeが視界一面に現れる。
雄大でいて美しい。
この景色をあいつに見せたい
旅をしていると思い出す友の顔がある。
この景色を見せたい
この花が好きだろうな
この場所に連れてきたい
この想いを理解してくれるだろうな
この感情を共有したい
思い出す友の顔は実にたくさんいる。
思い出す度に
自分はなんて幸せ者なんだろうと気がつく。
そして、思い出したあいつへ手紙を書く。
それは僕の旅にとって大切なルーティンだ。
今日のキャンプ地はRubylakeという小さな湖。
同じくテントを張った三人家族(夫婦と子供)がいた。
茜色に染まる湖面を見つめながら大切な思い出を語ってくれた
「20年前に妻と2人でJMTを歩いたんだ
まだ、結婚したばかりでこの子もいなかった。
そのときにもここでテントを張ったんだよ
この湖は変わらずとても美しくて僕たちは本当に気に入ったよ。
そして、必ずまたここに来ようって約束したんだ。
だから、今こうして娘を連れて来れたことがとても嬉しいんだ。」
夕陽が山並みに吸い込まれて
星星が群青の隙間から滲み出てくる。
月が湖面と僕らの出逢いを照らし出す
僕もまた、必ずここに戻ってくるだろう
それはとても大切な思い出との約束なのではないか。
言い換えるなら、魂との約束。
そんなことを考えながら、今夜も星を仰いだ。