雲ノ平への旅 4日目 〜生きる意志〜

<雲ノ平への旅 4日目 〜生きる意志〜> 2021.10.7

三俣山荘~双六小屋~鏡平山荘~わさび平山荘~新穂高

 

今回の山旅最終日。

今日はただ山を下りるだけだ。とはいえ、今日も距離は長い。

長い下りほど足腰への負担は大きい。

こういうときはゆっくり小さな歩幅で歩くのがコツだ。

 

三俣山荘のテント場で朝ごはんを作り、テントを片付ける。

湧き水でコーヒーも淹れる。

もうご飯は今日のお昼ご飯と携帯食が少しばかりだ。

旅の終わりが近づくにつれて食料が減って行くのは充実感と寂しさどちらも感じる。

 

暖かいコーヒーを飲み干すと、パッキングを済ませて

軽い準備運動をして、いざ歩き始める。

山を下りることは寂しさもつきまとうが、街に戻ることへの安心感もある。

どんな山旅でもやはり無事に帰れることは嬉しいものだ。

 

今回の山旅でも膝を痛めてしまった人を見かけた。

普段何時間も山を歩く経験をしていないと、筋肉疲労から膝を痛めることがある。

特に下りがメインのルートで。

もしくは足にマメができてしまい、痛みを騙しながら歩く人もいる。

 

山では生きる意志がなくてはいけない。その意志だけが人を動かす。

山では動くことをやめてしまえば、簡単に死ねる。

こちらから連絡しなければ誰も救助には来ない。

登山届けも出さずに、山荘に予約もしていなければ、なおさらだ。

食料が尽きれば、ほぼほぼ間違いなく死ぬことができる。

 

しかし、人間社会ではそうはいかない。

そう簡単に死なせてくれない。

道で倒れていれば、誰かが救急車を呼んでくれるし、

意識がなくても医者たちは懸命に延命治療をしてくれる。

人間社会とはそのために制度が作られていったからだ。

社会保障によって申請さえすれば、生き延びることができる。

 

山ではそんな制度はない。

怪我して歩けなくなっても、人に会わなければそのまま死んでしまうだろう。

道を踏み外し崖に落ちてしまえば、発見さえされないかもしれない。

山奥で遭難してしまえば、携帯電話すら繋がらない。

 

たとえ、有名なルートでも常にそういう危険性を横にして歩くしかないのだ。

だからこそ、生きる意志が無ければ山に入ることも下りることもできない。

 

今年も全国の山で遭難事故が報告された。

懸命の救助作業も虚しく亡くなられる方もいた。

 

ただ勘違いしないでほしい。

遭難する人も亡くなってしまった人も生きるために必死だったことは間違い無いのだ。

彼らは持っている体力・知力・精神力を屈指して生き延びようとしたのだ。

ただ運が悪かった。それだけだ。

 

生きる意志のない人は山に入らない。

それだけは断言できる。誰もが生きるために必死だったことを。

 

数日前に入ってきたルートを戻って行く。

数日経っただけで秋の深まって行く様子が見て取れる。

途中の山小屋で昔、旅で出会った友と再会する。

お互いの近況報告をし、未来の展望を語る。

 

山は険しいからこそ、身体も心も生きるために必死になる。

それが病みつきになるのかもしれない。

街では自然と生きることに必死になることはない。

それを本能と呼ぶのかもしれないし、野性味と呼ぶのかもしれない。

 

少しずつ登山客も増え、下山口が近づくと

あの鐘の音がなくなっていることに気がついた。

あの鐘の音は昔この辺で遭難した人の鐘の音なのかもしれない。

無事に下山まで見守ってくれたことに感謝。

 

遭難し亡くなった人と無事に帰ってこれた人の間に大きな違いはない。

生と死の境界線ははっきりとした境ではなく、とても曖昧なゾーンだ。

どちらに行くかはそのとき決まるのだろう。

ただ、これは確かなことだからもう一度言いたい。

誰もが生きる意志を持って山に入り、山を下りるのだと。

それだけは間違いない。

 

そして、私もまた。生きる意志を持って違う山に入る。

Profile

 

そのまんま、自己紹介です♪

Journey's Diary

 

大学卒業後、国内国外旅してきて

 

撮り続けた写真と綴ってきた言葉を

まとめたものです

 

長くて多いので

暇な時に読んでください♪

Book of my journey

 

ひとり旅をはじめてから

カメラとノートを

常に持ち歩くようになりました。

 

その風景写真と短い言葉たちを

アメブロにて公開していました。

そのページをまとめたものです。

 

これまたたくさんあるので

暇つぶしにしてください。

Woodworking

 

木をメインにした工房【旅をする木】の

作品集やものづくりへの想いを

ここにまとめています。

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